マタニティ通信

2013年6月14日(金)更新

第103回「脊髄くも膜下麻酔の合併症」

手術中での合併症としては、血圧低下や徐脈などの循環器系への影響があります。悪心・嘔吐などの症状も起こりやすいです。

手術後の合併症の一つに頭痛があります。脊髄くも膜下麻酔では非常に細い針を使用していますが、この穿刺孔から脳脊髄液が漏れることによって脳圧低下や脳支持組織の牽引が生じて頭痛が起きると考えられております。

術後1~2日で頭痛がおき、頭を上げる姿(坐位・立位)で症状が増悪します。多くの場合、安静にしていると1週間ほどで軽減してきます。また稀な合併症では穿刺部位付近の感染や血腫です。この場合脊髄の神経が圧迫され麻痺やしびれをきたすことがあります。麻酔の効果がなくなった後も足の麻痺やしびれがある場合は遠慮なくお知らせ下さい。

執筆者

中川産科婦人科 麻酔科医師 中川 聖子

麻酔科医師:中川 聖子
Masako Nakagawa

久留米大学医学部卒業
広島大学医学部麻酔・蘇生科学教室入局

職歴
県立広島病院
安佐市民病院
広島大学医学部附属病院
資格
日本麻酔科学会 麻酔科専門医
日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法「専門」コース 修了
このサイトは最新のブラウザでご覧ください