マタニティ通信

2012年6月8日(金)更新

第50回 「先天性トキソプラズマ症」

妊婦が、初めてトキソプラズマ(原虫の一種)に感染すると、血液中に流入したトキソプラズマが胎盤を介して児に感染し、児に水頭症や脈絡網膜炎を起こすことがあります。これを先天性トキソプラズマ症といいます。

感染経路は口が主で、目や呼吸器もあるといわれています。経口感染の感染源は、食用肉・内臓(不十分な加熱処理のブタ・ヒツジ・ウシ・トリ、レバーなど)に含まれるトキソプラズマのシスト(嚢子)、あるいはネコの糞に多量に含まれるオーシスト(胞嚢体あるいは卵嚢子)があります。

妊娠中の感染が否定できなければ、羊水検査による遺伝子診断を行うか、アセチルスピラマイシンによる薬物治療を開始します。妊娠初期にトキソプラズマ検査をおこないますので、主治医に説明を受けておいて下さい!

執筆者

中川産科婦人科 院長 中川 仁志

中川産科婦人科 院長:中川 仁志
Hitoshi Nakagawa

久留米大学医学部卒業
広島大学医学部産科婦人科学教室入局

職歴
呉医療センター・中国がんセンター
広島大学医学部附属病院
県立広島病院
資格
日本産科婦人科学会 専門医
母体保護法指定医
日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法「専門」コースインストラクター
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